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今日の配達を終えたオレは帰宅の準備を始めた。
同じ職場の先輩が愚痴る。
「この街も人が減ったなぁ。いつかなくなるかも知れん」
「そりゃないだろ。まだオレ達が住んでる」
「だなぁ」
帰り道にもあの学校がある。イヤでも目には入る。
さっきのあれは何を思い立っていたのか。少し気になった。
校庭のど真ん中に立つ。ポケットに手を入れて中のガムを取りだそうとした。
オレには携帯電話という時計がなくなった。腕時計も持ってない。ふと校舎の時計に目を向ける。
時計は動いてはいなかった。時刻は2時を指していた。明らかに2時ではない。仕方ないかと思った。
あの誰かはこの時計を見ていたのか。動かない時計に儚さを感じていたのか。
確かに学校の時計が動かないのは違和感しかない。
家にある目覚まし時計の秒針のカチッ、カチッと鳴る音は確かに安心感があった。
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