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郵便物の中に偶然、真中へ宛てたものがあった。
初めて彼女の家を目の当たりにした。
周りは林か、森か。
二階建ての庭の広い家。真中家。
まだ昼前。真中は学校だろ。
チャイムを鳴らした。
ガラッと開いた戸の先に真中。パジャマというかジャージ。いわゆる寝間着か。
「…サボり」
「ちょっ、サボってなんかないですから。テスト休みです」
「あーそゆこと」
「あら?見ない郵便屋さんねぇ。しかも若くて。志保の知り合い?」
「最近引っ越して来たんだって」
ヘルメットのつばを掴んで小さく「どうも」と会釈。
「お茶でも飲んで行きなさいな」
縁側に三人で座る。
「あー懐かしいな。緑茶」
真中の母が僕を見つめる。
「あ。出身が埼玉の狭山の方なんで。狭山茶」
「あらま。そうなの」
真中は横でスパイクの手入れをしてる。
慣れた手つき。長いことこうやって磨いてきたのが分かる。
「そういやボールあったぞ」
「うそ!?本当に?よかったぁ」
よかったよかったと言いながらスパイクを嬉しそうにゴシゴシ磨く。
真中の母にお礼をして配達に戻る。
またお茶飲みに来ようかな。
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