正常

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駅にはもう真中がいた。手招きして急かす。 「遅ーい。10分遅刻」 言いながらもオレに缶コーヒーを渡す。裏腹ということだ。 電車はすぐに来た。しかしこれを逃したら次は12時台になるらしい。 電車の中は終始無言で。オレはコーヒーをちびちびと飲んでいた。 笠原に着き、こっちだと真中に手を引かれた。 今日は夏に備えるために、真中の服を調達しに来たのだ。 真中の行きつけは学校への通学途中にある、いわゆるファッションセンターみたいなもので。 婦人服メインのオレにはつまらない洋服屋だった。 今日オレが一緒にいるのは、なんでも東京の女性みたいなのに憧れがあるらしく、どんな具合なのか教えてくれとせがまれたからだ。 まず東京にもあまり行かなかったし、ましてや女性の服装なんて、全然わからない。今日は本当は来たくなかったのに。 「これなんかどうかなぁ…」 「い、いいんじゃない?涼しげで」
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