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帰りの電車。外はまだ雨だった。座席の一番端に真中は座った。オレはドアに寄りかかって曇る空を眺めていた。
手すりに掛けた2本の傘から雨の滴が落ちる。
「食べる?」
真中はオレにチョコを差し出す。
「サンキュ」
酷く甘い。口の中に広がる。
「あ。」
真中は拍子抜けする声を発する。
「ん、何」
「これ…」
オレの家の鍵を指さす。
「家の鍵」
「違う」
考える余地がありそうだ。
「チャリの鍵?」
オレは面倒くさがりで鍵は1つにまとめる。
「違うって」
「このストラップ」
鍵だけじゃ物足りないので、星座のマークが刻まれたプレート状のストラップを付けていた。
「私も欲しい。どこで買ったの?」
「これは…ガチャガチャ」
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