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○月×日
郁と2人で話したあの日から、ほぼ毎日と言うほど私はあの人の隣に居て、当たり前のように馬鹿をやって、笑っていた。
前より笑うようになっていく郁の横顔にツキリと胸の奥が時々悲鳴をあげる。
何故鈴さんと別れなきゃならなかったか…等、あれから少しずつ教えてくれるようになった。
鈴さんのお父様は、ある有名な会社でカナリの業績を上げて一大トップまで上り詰めた、とても偉い立場に居る方だそうです。
そんな鈴さんのお父様は、受験生なのに毎日のように遊び回り、勉強をしているものの、成績が渡される度に落ちていく事で、私の子の癖に、こんな事もできないのか!!!と別れる日の前の晩に食べ終った食卓に呼び出され、机の上に置いてあった問題集と成績表を叩き付けられたそうです。
その後もずっと成績の話、溜まり場の話、もう二度と行くなという事………、鈴さんは反抗したものの、そんな事した所で、鈴さんのお父様は、写真を取りだし、(郁との2ショットのだ。)
「この男をこの土地に……、嫌、日本から追放して二度と戻れないようにする事だって可能なのだがなぁ?」
薄く笑うその姿をみて、目が本気だ…と察した鈴さんはこの気が可笑しくなるような話が夜中、深夜までずっと話続けたそうです。
寝る前に郁に最後の電話をしてもう二度と会えない事、溜まり場に行けない事、お父様の事、全部を話して、別れるしか鈴さんには方法がなかった事を聞かされて、そうするしか無いんだ、と泣いていたのです………
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