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そのときだった。
「あたしが鏡のこと言ったからだ……」
ポツリと女子の輪のなかから声が聞こえた。
行幸がガタンとイスを鳴らして立ち上がり、
そのグループに寄っていく
「お、おい!」
慌てて裕之もついていく。
「ねえ、そのはなし教えて?」
目を赤くした女子は一瞬きょとんとして彼を見上げた。
「え…あさか …なんで?」
「良いから教えてよ!」
語尾を強く言うと不信の目が女子から集まる…
ちょっとだけ顔を背けながら裕之がポツリといった。
「コイツちょっと今勝手に追い詰められてて…ごめん、頼むよ」
「…ゆき」
「しゃ、しゃべった!」
「向後クンがしゃべった!」
裕之は大の女嫌いとして、学校で有名だった。
噂にオヒレがついて
女子と喋らない、目を合わせない、話しかけられても無視
と勝手に思われていた。
実際には苦手なだけなのだが。
その裕之が自ら話しかけたということに女子は気分をよくし、
話をはじめた。
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