先輩と一緒

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「はぁ…。」 真白な吐息が空へと昇る。 誰も居ない夜の公園で、椅子代わりのブランコを揺らし、愛しい人を想う。 ついこの前までは、学校で会えていたのに。 今では、あんなに楽しかった学校が味気無い。 学校に行っても、卒業する想い人にはもう会えない。 「なんで、同い年じゃないんだろ…。」 その上、留学することを告白されたのだ。 今ですら会いたくて切なくて寂しいのに、もっと遠くなって、もっと会えなくなる。 (…試練だ。これは愛の神様がくれた有難迷惑すぎる試練なのだ…。) 一人でブランコをキコキコと言わせながら、悶々と考えを自分に言い聞かせる。 そしてまた、真白な吐息を漏らした。 頬についた、乾いた水滴の筋を拭って。 見上げた夜空には、煌めく星屑が大量に瞬いていた。
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