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「これより、おぬしらに『四術(しじゅつ)』を授ける。心して構えよ」
四人には、老人の言葉が聞こえただけだった。目をつぶっているし、異常なところは何も感じなかった。
その時までは。
次の瞬間、四人は脳天に水のような液体が、凄まじい衝撃とともに降りかかってくるのを感じた。
その冷たい液体は、首筋を辿っていった後、体の内部の、心臓の辺りへ染み込んでいった。
四人には、特に抵抗はなかった。まるで起こるべくして起こったとでもいうような、そんな運命もどきな何かを感じていた。
修行僧のような時が過ぎた。やがて液体の勢いは弱まっていき、最後には無くなった。
「もうよい、目を開いても」
老人の優しい声が聞こえた。
「おぬしらは特別な力を授けられた。今は何も感じぬじゃろうが、二、三日もすれば変化が表れるはずじゃ」
「何なんだよ、まったく……」
大地はつぶやいた。寝起きみたいに気持ちがぼんやりして、目がうまく開かなかった。
「こんな非日常なことって……」
「幻覚性の麻薬を射たれたか……?」
「……麻薬!?」
風馬のぼやきにも流水の疑心にも、まして火香の驚愕にも、覇気のようなものはなかった。ただ大地同様の、定まりきらない心の内から絞り出した、短い短い主張だった。
老人がゆっくりと言った。
「今は信じられなくともよい。ただ、時が来てその兆候がうかがえたなら、そこの神社に来るがよい。わしはいつもそこにおる」
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