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「今日は試験二週間前だぁ。そろそろ準備始めとけよぉー」
冷房もいらないくらい、ひんやり気持ち良い八時四十分。朝のホームルームでの担任の第一声で、生徒(少なくとも大地)の爽快感は完全にぶち壊された。
「火香、試験あるんなら教えてくれよ」
大地は、うちひしがれるように言った。
「っていうか、一学期末テストぐらいあるの予測できない?」
そして、
「このバカ」
「……へぇ、女の子ってそんな酷いこと言うんだ」
「まぁ、そこまでじゃないでしょ」
「……どうかした?機嫌悪い?」
「うん」
「どうして?」
「大地が気安すぎるから」
「……」
「うん、かなりウザい」
「……何なんだよ、朝っぱらから」
火香のこんな態度も、ホントは日常茶飯事なのだ。
昨夕起こったような「アブノーマル」のことは、なんだか上手く思い出せなかった。それこそ、まるで幻覚のワンシーンみたいに。
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