招かねざる変化

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 そう言って、二人で笑っていると、プールから上がった流水が近づいてきて、   「お前ら、何か言ったか?」   「え、マジで!?聞こえてた?」   「何か言ってたことぐらいは、わかる」    そう言った流水は、足音あらくさっさと歩いていった。ペチペチいう音も、意外と面白かったりして。      残り二十分だというところで、自由時間になった。   「ちょっと、大地」  大地はそういって、流水に呼ばれた。    二人はプールサイドの縁に、並んで座った。    空は今日も青かった。一つだけある入道雲は、まるで人の感情のようにむくむくと膨れ上がっており、その真下、プールの反対側では、男子と離れて女子が、まだ泳いでいた。    不意に流水が口を開いた。 「今日の仕打ちは、酷かったな」    どうやら怒っているらしい。大地はたどたどしく弁解した。 「怒ってるんなら、謝るけどさ。でも苦手なことなんて誰にでもあるだろ?それでイジられるのも、誰にでもあることだって」   「あのさ」  流水は大地の言葉を妨げるようにそう言った。
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