六時二十分 夕暮れ

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 六月の西日が心地よい、学校からの帰り道――。    ゆるーい時間のなかで、ゆるーい高校生四人組は、ゆるみきった顔で帰っている。   「あぁー気持ちいい。いっそのこと、この路上で暮らしたい……」  そんなアホ丸出しの声まで聞こえてくる。  そう言ったのは薪半大地(マキナカ ダイチ)。本人いわくスポーツ万能だが、勉強はからっきしで、それ以前に人格的にもネジが外れている。   「どうせなら、もっと静かな路上がいいですね」  そう、アホに便乗したのは涼風馬(スズミ フウマ)。繊細で小柄な体型から、弟分として愛されそうなタイプである。寡黙で多くを語らないが、家は江戸時代から続く老舗の和菓子屋である。
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