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「…おや、もう行くのかい?」
「はい。お世話になりました。」
朝方、彼は深々と、その泊めてくれた家主に頭を下げた。
となりで、化物の少女…シーラも頭を下げている。
そういえば、この家主は、全くシーラを怖がらない。
色彩が分からない、ということもなさそうだし、まるで、こちらの状況を知りつくしているようにも見えた。
しかし、この家主が一体何者なのかということは、最期まで分かる事はなかった。
「…そうか、気をつけてなぁ。」
綺麗な顔をしているのに、家主は本当に似合わない喋り方をする。
だが、何処かやわらかい喋りなのだった。
家主は、彼らが見えなくなるまで手を振り続けた。
彼らも、時々振り返っては手を振ったり、頭を下げたりした。
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