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シーラを囲む人だかりから、一人の女性が前に出てきた。
まぶたは、どのくらい泣き晴らしただろう、真っ赤に腫れている。
シーラを泣きそうな顔で見つめると、座り込み、案の定泣き出してしまった。
(…母さん…?)
そう、一番悲しんでいたのは…
ただ一人、シーラを恐れず近付いて来たのは、彼女の母である。
(泣かないで母さん…。そばにいけなかったのは私が悪いんだよ…)
「…ア゛…ァ…」
シーラは声を出そうとしたが、喉は潰れて完全に空気を吸えず、舌は錆びた鉄扉のように動かない。
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