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(確かに…母さんは神様を信じてる訳じゃなかった…
だけど、神様は誰でも助けてくれる!信じてなくても助けてくれる!!
悪いのは…神様を信じてない母さんなわけないわ!!)
「……ッ…」
叫びたい。分かってほしい。
だけど、叫ぶ事ができない。
さっきより、口は重く、舌も全く動かない。
ザ…ザザ…
シーラは思い通りに動かない身体を、懸命に立ち上がらせようとした。
掌は大きな砂、というより細かい小石を握りしめた。
しかし、その感覚は全く伝わって来ない。
ぐ、…ぐぐぎ
関節の軋む音だけが体内に響いた。
涙が出そうだった。
涙を流したかった。
しかし、誰が許してくれないのだろう。
涙は詰まっているように流れようとせず、鼻と目の奥だけが異様な感覚を感じた。
歯をくいしばる力もろくにないのだから、シーラはどこに気持ちを抑えつければいいのか分からなかった。
(…ぅ…ぅう…)
シーラは死ぬ前、病にかかるとまず歩けなくなった。
なのに、今は立つことなどできるのだろうか。
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