7/9
前へ
/45ページ
次へ
    「………」     シーラは椅子に座り、再び彼の顔を見つめ続けた。     「…何故……」     「……?」     彼は天井を見つめたまま、シーラに問掛けた。     「…何故、助けたりしたんだ…? 私は、お前を避けていたのに…。」     「…………。」     もちろん、シーラに答えられる術はない。     (…だってあなたは……)     シーラは、天井を見つめ続ける彼を、見ながら思っていた。     (…だって、あなたは私が生きてたら… 困ってる時に、きっと助けてくれるでしょう?)       「…なぁ…」     沈黙を切り出したのは、彼の方だ。     「…私は、二度と教会に戻らないかもしれない…」     (…!)     シーラは黙ったまま驚いた顔になる。     「…いや、お前のせいにはもうしない…。」     シーラの顔を予想して、彼は慌ててそう言った。     「…お前のことも、何処かに捨てたりしないが…。 お前みたいなものでも、面倒見てくれる所を、最期まで探してやる。」  
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加