―生きていた頃―

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白いワンピースを着て、白いベッドに横たわる少女がいた。 澄んだ青色の瞳からは、涙がつたっていた。 しかし、その顔は、 満足気に微笑みを浮かべている。   「…シーラ……」   母親らしき女性は、彼女の手を両手で握り、不安を与えないよう、無理に優しげな笑顔を作る。   名前を呼ばれた少女、シーラは、もっと笑顔を浮かべた。   彼女もまた、母親に不安を与えまいと、笑っているのだろうか。   「…ねぇ、母さん」   シーラは疲れたようなかすり声で、しかし確かな思いを抱きながら、母親に語りかけた。
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