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「チッ…いくらザコでも数でこられたら相当厄介だな…面倒臭ェ」
少年は木に寄り掛かりながら悪態をつき、周囲を見る。辺りは闇
だが完全に見えない訳ではなかった
今寄り掛かっているものと同じ種類の木々が茂る林だ
その林に少年のものではない声と足音が生まれ、林が生み出す静けさに呑まれて消えていく…
その小さな音を少年の耳が捉えた
(あぁー!…ウッゼェなチクショウ!…相手は…1、2、3……10人!?…1人相手に何だよこの人数は!)
そう心の中で叫び、少年は右手で右目を押さえた
ヂクリ…と痛みが右目から脳に走り、チカラが体を駆け巡った
(おーっし、順調順調。さぁて…死神様のショータイムだ♪)
手を退けると、押さえていた右目があらわになる
瞳孔が縦に割れ、まるで猫の目のように金色に光っている。左目は、本来の少年の黒い目のままだった
右手に力を込めると突然、闇から刃渡り30cmほどの小刀と、綺麗に湾曲した柄の長さが50cmほどの鎌が現れ、少年の手におさまった
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