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それに、本来なら上山達はあれこれとワガママを言える立場ではないのだ。
先週のような思いをしないためにも、護衛が付くと言う話は、決して悪い話ではない。
しかも、誰ともしれない人間ではなく、少なくとも信頼は置けるクラスメールの男子なのだ。
その実力を鑑みるにしても、上山達が不満を言える要素は何一つてしてない。
……はずなのだが、だからといって年頃の男子としばらくの間行動を共にするのは、上山達にとってかなりの抵抗があった。
「とにかく、アイツとだけは絶対に嫌っ!」
「そこまで嫌がってると、逆に怪しまれるよ、エリちゃん」
坂巻の憤慨に、少しだけ笑ってそんなこと言う山杉。
そんな、微妙に仲睦まじい二人を見て、上山もほんの少しだけ、笑っていた。
△
「……となると、やっぱりそれが一番妥当だよな」
「……だ、な」
「だね」
俺、創也、慎の順に言って、話し合いの結果、とりあえず男子陣としての意見はまとまった。
どうせこの後の二時間は来週のふれあい合宿についての話し合いとか説明会とかがある。
その前に、一応はこのことを伝えるために俺達はクラスに戻ることにした。
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