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酉がさっきまで視線を送っていた場所、つまりは一年一組に酉達の悩みの種である『とある少女達』が物静かに昼食をとっていた。
「全く、信じられない!」
「そ、そうかなぁ……?」
「ユ、ユリちゃん、声が大ききよっ!」
いや、若干一名、物静かにではなかった。
最初に憤慨したのは坂巻衿。
黒い長髪をかきあげる様はまるでどこかのOLを思わせるような大人びた顔をもっている少女だった。
その次に弱々しく疑問符付きで言葉を零したのは山杉理英。
少しカールしたセミロングの茶髪を持つ、おっとりとした表情の女の子だ。
そして、どこか焦ったふうに坂巻を制したのは最後の一人、上山奈々子。
おかっぱのようなキッチリと整頓された黒髪に、中一よりも更に年下に見られるであろう童顔の、林創也の思い人。
そんな三人が何を話し合っていたかと言えば、
「なんで私達があんな奴に守られなきゃいけないのよ!」
「いや、朔真くんだけじゃ、ないと、思うんだけど」
「そ、そうそう、林くんとか片良木くんとかもいるんだからっ」
酉達と同じことで揉めているのであった。
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