27人が本棚に入れています
本棚に追加
少し前のやり取りならば、坂巻や山杉の口調はもっと辛辣としていたのだが、先週にあった色々と面倒なことに巻き込まれたせいで(おかげで)この二人の見解は大きく変わり、かなり丸くなっていた。
坂巻はまだ本作の主人公・朔真酉を毛嫌いしているが、これはもう一種の意地のようなモノで、本心としてはそう嫌ってはいないらしい。
山杉に至っては百八十度と言っていいほどに言葉の使い方が変わっていた。
それは、二人が酉のことを勘違いしていた事にも原因がある。
酉は入学当初から“天才少年”などと呼ばれ、他の人を見下すように(二人の偏見だが)様々な部活動で先輩達をなぎ倒した(誇張アリ)のも原因の一つ。
何より、そんなことをしておきながら幸永中唯一の強豪部活動・野球部には入らずに、練習もそんなに真面目ではないテニス部に入った事に二人はかなりの憤慨を露わにしていた。
結局は楽に目立ちたいだけなのか、と。
しかし、先週のゴールデンウイークにひょんなことから酉のこれまでの生い立ちを知ってしまい、今の彼は想像を絶する体験と努力によって
・・・・・・・・・
成り立っていることを知った二人は、それまでの朔真酉に対する偏見を改めることとなっていた。
最初のコメントを投稿しよう!