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「ねえエリックさん、結界って?」
「結界を知らないの?」
「漫画とか本でなら知ってる」
結衣は得意気に言った。
「まんが…まんがって何かな?」
「漫画を知らないの?」
「初めて聞いたよ」
エリックの言葉に結衣は口を開けたまま閉める事が出来なかった。どう見ても嘘をついているようには見えない。
何てことだ、漫画を知らないなんて信じられない。
「ねえ、結衣」
「何?」
「エリックさんて呼ぶのはやめてくれない?」
「じゃあ…、リインフォルムさん」
「もっと嫌だな」
エリックはうんざりだと、嫌な顔をした。
「じゃあ、エリックくん」
「エリックでいいよ」
「え…いや、それは無理無理。私、男の子のこと呼び捨てになんて。しかも名前なんて、呼べない絶対」
みるみる顔が赤くなっていく結衣はうつむいた。
「結衣?」
うつむいたままの結衣をエリックは心配そうに覗き込む。
「うわっ、私…こんなに男の子と喋ってる。どうしよう」
覗き込むエリックを避け、うずくまる。
普段、男子とは話すこともない。だから上手くなんて話せなかった。
それなのに今、目の前にいるのは綺麗な気品のよい少年で、しかも彼しかいないため、彼と話をしなくてはいけないのだ。
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