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「もしかして、具合が悪いのかい?」
「ち、違うの」
急にうずくまってしまった結衣に、心配になったエリックが触れようとした時だった。
トントン
部屋の扉が叩かれた。
トントントントン
ノックの音に結衣が起き上がると、エリックは何か考え事をしているのか固まっていた。
しかし、すぐに何かを決めたように結衣を見ると、結衣の体を引き寄せ自分が座ってた椅子に座らせた。
「なっ、なっ何?」
突然のことに、結衣は頭がこんがらがった。
何故こんなことをされたのか、訳も分からず顔を真っ赤にしていた。
「静かに、君は喋ってはいけない。僕の言うとおりにして」
エリックは人差し指を結衣の顔の前に立てて、真剣な眼差しで小さく言った。
「エリック様ー、エリック様ー、そこにいらっしゃるのでしょう」
ドンドン
先ほどよりもさらに強く叩いている。
「私ですわ、フローレンスです。私たちのことで相談にのって欲しい事がありますの」
ドンドンドンドン
ドアが壊れるんじゃないだろうかと言うほど、強く叩かれる。
ドアの向こうの彼女はエリックに早く会いたいのだろう。
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