光と共に

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ふと視線を上げると、この地震の中でも勢いよく走っている少年がいた。 その先には、木に寄りかかって寝ている生徒がいる。 「こんな時に、寝てるなんて」 コツン 膝に何かがあたった。 黄色いボール。 「テニスボール?」 転がってきた先を見た、その瞬間だった。 ねえ 助けて ここは暗くて、寂しいの 可愛らしいが、どこか寂しそうな声が聞こえた。 「え?」 「何だ今の声……、うわっ!」 目の前には突然、髪が長く、肌の色が真っ白な少女が自ら発光するかのように、光を放ち浮かんでいた。 「な、何…?」 ねえ 助けて あなたたちしかいないの お願い 救って 「浮いてる…」 中村はポカーンと口を開けたままだ。 あなたたちに少しだけの勇気を 少女は結衣と中村のポケットを指さすと、さらに強い光を放った。 あまりの眩しさに結衣は顔の前に手をかざし、影を作ったが、それでも眼を開けることが出来なかった。 「飯山!」 中村くんが、何度も必死に叫びながら私に手を差し出した。 掴もうとしたのに、私は彼の手を掴めなかった。 この出来事で、私のこの先はとてつもなく変わっていくのだった。
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