まるで違う世界

3/9
前へ
/404ページ
次へ
「どうしたの、具合が悪い?」 ぶんぶんと結衣は首を振った。 「それでは、話すことが出来ないのかな?」 結衣はまた、ぶんぶんと首を振った。 喋ろうとしない結衣に、少年は眼をパチクリさせた。そして、優雅に優しく微笑んだ。 「僕はエリック、エリック・リインフォルム。君の名は?」 日本語を喋っているけど、やっぱり見た感じ日本人じゃない。ごくりと喉を動かした結衣は、ゆっくりと起き上がって、エリックと向かい合い、口を開いた。 「…結衣、飯山結衣」 「結衣…、それが君の名前?」 「うん」 結衣はエリックの質問に頷いた。 「どうやってこの部屋へ?」 「どうって…、地震があって女の子がきて救ってとか言われて、いきなり光って…あの、これ夢でしょ?」 「夢?君の夢ってこと?」 「うん」 「本を読んでいたら、突然部屋の中が光ったんだ。そしたら、いきなり君が現れた。このベッドに」 「まさか」 「この建物は頑丈でね、結界が張り巡らされているから、こんなことあるはず無いんだ。それに僕が君の夢の中の住人?まさか」 確かに、この感じは夢に思えない。けれど…まるで本の中の話のようだ。
/404ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1737人が本棚に入れています
本棚に追加