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「どうしたの、具合が悪い?」
ぶんぶんと結衣は首を振った。
「それでは、話すことが出来ないのかな?」
結衣はまた、ぶんぶんと首を振った。
喋ろうとしない結衣に、少年は眼をパチクリさせた。そして、優雅に優しく微笑んだ。
「僕はエリック、エリック・リインフォルム。君の名は?」
日本語を喋っているけど、やっぱり見た感じ日本人じゃない。ごくりと喉を動かした結衣は、ゆっくりと起き上がって、エリックと向かい合い、口を開いた。
「…結衣、飯山結衣」
「結衣…、それが君の名前?」
「うん」
結衣はエリックの質問に頷いた。
「どうやってこの部屋へ?」
「どうって…、地震があって女の子がきて救ってとか言われて、いきなり光って…あの、これ夢でしょ?」
「夢?君の夢ってこと?」
「うん」
「本を読んでいたら、突然部屋の中が光ったんだ。そしたら、いきなり君が現れた。このベッドに」
「まさか」
「この建物は頑丈でね、結界が張り巡らされているから、こんなことあるはず無いんだ。それに僕が君の夢の中の住人?まさか」
確かに、この感じは夢に思えない。けれど…まるで本の中の話のようだ。
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