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スポットライト。 ワインレッドがブルーになる。 深海のような蒼と空気。 この瞬間がたまならく好きだ。 このあとの打ち上げだのなんだのより、はるかに。 バンドは最後にEの音を出し演奏を終えた。 フェードアウト。 歓声。 「ありがとう、みんなありがとう!」 俺は客席を隅々まで見た。 …いなかった。 代わりに、酔っ払って暴れている小太りのおじさんが、セキュリティに外に連れ出されているところを見た。 「ハッシーあの新曲、盛り上がったよな。いい曲だよ」 メイクを落としてドリンクを飲んでいると、ギターのアツシが話かけてきた。 去年の年末、俺が前のバンドを抜けてから途方に暮れてたところを、声をかけてくれたのがアツシだ。 「それに今日も絶好調だったて! 次のライヴのクリスマスイベントもこの調子でほかのバンド食ったろまい!」 クリスマス…去年の屈辱を思い出す。 バンドの華でもあり、ヴォーカリストの俺をコケにしたロボトミーの連中。 ロボトミーは結局あの日で解散、俺を追い出して残りのメンバーで新しいバンドをやっているらしい。 いつかはあいつらを見返してやりたい。 それにあいつらは、ミナちんのいる前であんなことさせやがって…。そういや、ミナちん今日のライブ来なかったな。どうしたんだろ…。
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