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「にやゃぁぁぁぁ、にゃああああ」
奥のテーブルから声が聞こえる。
猫のモノマネをしているが、明らかに似ていない。
そこには脂ギッシュなオヤジが一人いた。
「気にしないで頂戴。
今日は古賀さん猫になるそうなの。
オープン前からサキちゃんが来るのを待ってたのよ、いじらしいじゃない」
ママは細い指で猫の首を撫でる。
紅いマニュキアの色が下から上へと、つつつ、と動く。
「サキちゃん、古賀さんを今日はどうするんですか?」
アリスが首をかしげて問い掛ける。
サキは正直飽きていた。
週に何回も来て、犬だの豚だの馬だの椅子だのやってても、最初は楽しいが何度もやれば飽きる。
「じゃ、今日は猫なんで招き猫やってもらおう」
サキはさっさと招き猫セットを用意して、古賀を外に連れ出して戻ってきた。
「それじゃ皆さん、今日も頑張りましょう」
神崎がそれを聞いてドアにオープンの札をかけて、音楽をかけはじめた。
妖艶な空間にSLAYERのSOUTH OF HEAVENが流れはじめた。
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