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隆が握り締めた楓の手の甲に、一粒涙が落ちる。
「楓、俺はこれから母さんと、あの人と決着をつけてくる。必ず、帰ってくるから。俺が帰ってきたら、その時は一緒に、二人で静かに、平穏に暮らそう。約束する、俺は必ず帰ってくる。その時はもう一度、笑顔を見せて欲しい。それだけで俺は、幸せになれるから……」
隆は立ち上がり、涙を拭いながら楓の寝顔を見詰める。
そうして今度は力強い口調でそう言うと、微笑んでから、ゆっくりとその手を放した。
手を放す一瞬、楓が僅かに笑った気がして。
隆はしばらく寝顔を見詰めた後、ベッドに手を付いて、楓の唇に優しくキスを落とす。
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