第三話・―幸せを呼ぶ泪―

9/16
前へ
/190ページ
次へ
「あんたには、何から何まで世話になった。……本当に、感謝しているよ」  席に着くなり殊勝に頭を下げて、隆がMADMANにそう言うが。  MADMANは冷静なもので、いつもより声のトーンを低くしながら言い放つ。 「勘違いするなよ、暗殺者。俺はあくまで中立さ。ただ今は、お前に味方した方が利益があると踏んでいるからここにいるだけだ」 「いや、それでも良いんだ。そんな事、言われなくても充分に理解っている。俺は、あの場にあんたがいなければ、まだ取り乱したままだったろうと。そう思っているからさ」  MADMANの清清しい程割り切った考え方に、隆は苦笑しながら運ばれてきた珈琲に手を伸ばす。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

423人が本棚に入れています
本棚に追加