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「さあさあ!ご存じ口入屋『ひきつ屋』のじゃじゃ馬不二緒嬢!『美濃屋』の放蕩娘お千代を助けタッてぇ話だぁ!」
瓦版屋の口上に、わらわらと集まった人々がその瓦版を奪い合っていた。
口入屋とは、いわゆる人材派遣を生業とする業種である。
『ひきつ屋』は日本橋橘町に店を構えている。
好好爺という風体の大旦那の弥兵衛。
その息子でこれまた人の良さそうなのが、現店主の仙太郎。
似たもの夫婦の妻・よし。
子供が三人。おきち・お梅・小弥太。
弥兵衛の娘で、仙太郎の姉・りく。
その娘・不二緒が一家だ。
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