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平山は早速,中に入る事にした。
ガチャ―…
ウィーンウィーン!
カタカタカタ!
目の前に広がる世界は,想像した以上に騒がしい光景だった
直ぐに平山に声を掛けて来たのは,腰の低い熟年層の加藤さん
加藤「ど~も!加藤です~
何かご用でございますか?」
平山「あ,あのワタクシ南那株式会社営業課の平山と申します。
こちらの貴社で営業に出向きました」
加藤「ああ~!
あの南那さんトコの営業さんか!」
まるで待っていたかのような言葉である。
それも,部長が予め連絡したお陰。
部長は社員にとって有り難い存在だ
何をするにも必ず部長が面倒を見(み),社員らの緊張感を和らげてくれる。
加藤「お~い!南那さんトコの営業さんが来てくれとるぞ~!」
加藤は「踊り子」の社長を呼んだ
そこにやって来たのは,見るからに若そうな青年
本当にここの社長なのか?
そんな疑問を抱きながらも軽く挨拶を交わした
平山「どうも南那の平山麻人です」
田原「僕は田原祐作といいます😃
これでも社長してますねん🎵」
平山「は,はぁ…
どうも初め…」
田原「あ!そうだ!
ここで話すのもあれだから,私のオフィスで話しましょうか」
平山「きょ,恐縮です…」
平山は田原に事務所内を案内された
だが,余りに唐突な挨拶に平山はあ然
それに引き換え…
田原はニコニコしながら事務所を案内している
誰とでもこういう対応を取るのかは,さておいて…
案内中に田原はこんな事を平山に語った
田原「あの…
平山さんと言いましたか…」
平山「はい,そうですが」
田原「仕事には関係ないと思うのですが,平山さんは何時までここに?」
平山「?何時までですか?
多分,営業?なので週に何回かは来ると思いますが…」
田原「多分?」
平山「あ,いや…
部長から突然,電話で知らされたので…
仕事の移行によれば,私の他にも同じ社員が来ると思いますよ」
平山はそう田原に伝えたが,田原は不満げな顔をして
田原「そうなんですか…
で…
あなたは,もう来ないのですか?」
田原は何だか淋しげな様子
社長なのに,こんな顔をするのは何故?
いや,そもそも…
若いから?
若くして社長になったんだ
それはそれで,辛い仕事も有るのだろう…
普段,仕事で飛び回っている平山には田原の気持ちが分からなかった
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