聖職者は血濡れて

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三蔵は自分に飛び込んで来た女を咄嗟に抱え支えると、思いっきり二人分の体重がかかり座席の背凭れが軋む。 『三蔵様ぁーナイスキャァッチ😌』 ニタニタしながらからかう悟浄。 三蔵はと言えば青筋を額に浮かべると空いた右手で銃を出しかけたが、気絶していると思っていた女がいきなり三蔵の胸元を掴んできたため動作が中断され三蔵は更に機嫌が悪くなる。 (何故礼を言われる前に俺が掴まられねばならん💢)『なんなんだ💢』 そこまで怖くない言葉とは裏腹に声色から機嫌の悪さが嫌でも伝わってくる。 それは初めて会った、この女にも伝わるのではと確信させる程に。 悟浄は顔をひきつらせ、内心くわばらくわばらと繰り返していた。 『……ッハ…て………逃げて下さい‼』 荒い息をもらしながら女が叫ぶ。 『三蔵❗あれ‼』 悟空が指差す、遥か前方に何人かが見える。 どうやら女と同じ様に杖に乗った人間?…いや妖怪?どちらともつかない異形の者が猛スピードでこちらえ向かってくる。 『げっ💦…なんかあれ、やべーよ三蔵』 悟空の視力では見えるのだろう。座席の間から乗り出しながら三蔵に声を掛ける。 『っ捕まっててください❗一先ず逃げますよ』 何者か分からないまでも妙に嫌な予感がする 『我等に降り掛かる全ての敵を薙ぎ払え‼喚起せよ。シルフィード』 ロッドを片手に持ち女が唱え終わると、竜巻の様に螺旋を画きながら強風が異形の者の方を目掛け吹き抜ける。
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