聖職者は血濡れて

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強風が収まったかと思うと不意に女がドサリと倒れかかってきた。 『大丈夫ですか?』 倒れた女に八戒が慌てて声を掛けるが反応がない。 『チッ…気絶してやがる』悪態をつく三蔵。 『気絶されてはしかたありませんね。どうします?』 前方を見据えると強風に煽られたのだろう。一行の前から敵は消え失せ、代わりに木々が倒れ、見晴らしの良い巨大なドーム型の道が遠くまで続いている。 小さく見える建物は町の一部が見えているんだろう。 目で見える距離だ。そぅ遠く無いだろうが問題はこの女だ。 気絶されてはここらに捨てて置くわけにもいかず、かと言ってジープに乗るには狭すぎる。 困り果てていると悟空が後ろからいきなり乗り出してきた。 『なんか、血の臭いがする』 鼻をヒクヒクさせ、悟空は女の方へ更に乗り出す。 『やっぱり…』 三蔵は、悟空の言葉に怪しげに女を見下ろす。 切り傷は幾つか見あたるもののこれといって目立った傷は無かったはずだ。 女を支えていた手を徐に腹部へと移動させるとねっとりとした生暖かい感触がする。 八戒にも見える位置まで手を抜くと掌が鮮血で染まっていた。 ぎょっとして顔をつき合わせる二人。 (御主人様を助けて…) ふわりと何かの気配を感じると、どこからともなく声がした。 『とっとにかく、町まで行きましょう。このままでは彼女の命にも障ります。』 『じゃっおれが』 と乗り出す悟浄。 銃口を悟浄の顎にあてがい 『黙れ。行くぞ』 三蔵の言葉を合図にジープはアーチになった森を走り抜けていく。
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