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美姫ちゃんの作品が雑誌に掲載され問い合わせが殺到し一度は契約を打ち切った会社も戻って来た。
里緒菜ちゃんが美姫ちゃんの作品を一生懸命宣伝して戻って来た会社もあった。
でもそれは長くは続かなかった…
ありすの納骨が終わってから2ヶ月…
この2ヶ月が過ぎた頃美姫ちゃんの作品はあまり注目されなくなって来た。
一度は戻って来た会社はまた契約を打ち切り新規の会社とも契約が出来ない状況になっていた。
『あの子の作品はどれも同じに見える!』
とか
『あの子の作品は未知の部分がかなりあるので扱い難い』
と言われるようになっていた。
作品の素晴らしさは誰もが認めていた。
でも細かな理由から美姫ちゃんの作品は評価されなくなっていた。
『里緒菜先輩…美姫もうデザイン画描けないです…』
美姫ちゃんが里緒菜ちゃんに言った。
『自信無くなった?美姫!』
『はい…描けないんですよ…絵が…』
『描けないって何よ?』
『どんな絵を描きたいの?美姫は?』
『わからないですよ…もうイメージさえ思いつかないですよ…』
『美姫…先輩もそうだった!ありす先輩もそうだったんだよ!今の美姫みたいに絵が描けなくなった時あったんだよ!』
『でもありす先輩は才能あったでしょ?美姫は才能ないですよ…』
『美姫?先輩があなたに言った言葉忘れたの?』
『それは…』
『美姫…少し休んだら?』
『…』
『今日は帰っていいよ!』
美姫ちゃんの気持ちは俺にもわかった。
里緒菜ちゃんの言うようにありすも確かに絵が描けなくなった時期があった。
美姫ちゃんとありすでは理由は違うかも知れない…
でも美姫ちゃんが絵を描けない理由は周囲のプレッシャーじゃないか?と俺は思った。
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