--ピアノ--

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ほら 楽譜が落ちてるよ 君の大事な楽譜だろ 忘れちゃダメじゃないか 君はピアノが大好きだった ピアノの上から見守る 人形達と一緒にいつもいつも 黒や白の鍵盤を叩いては 高い音や低い音を出すたびに キャッキャと満面の笑みで 喜んでいたよね 君の小さな手の上から 僕の大きな手を覆い被せて 色々な曲を練習したね 僕の手に必死で 追い付こうとする君 でも顔は何処か楽しげで その顔が僕の心を いちいち揺らしていたんだ ねぇ楽譜が落ちてるよ 僕が君に作った曲だろ 置いていったら嫌だよ… ねぇ幼い君がいないよ 僕の大切な宝物だろ いなくなったらダメじゃないか ねぇあの時みたいに 一緒にピアノを弾こう? 下ばかり見つめてないで さぁほら冷たい手で 僕とピアノを弾こうょ。
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