ありがとうの一言が言えない

以心伝心

高校の入学式だというのにふたりで欠席。

学校へ戻ると新一年生はもう誰もいなかった。

拓はめぐの手を離す事なく廊下に張り出されたクラス分けの表を見つけ、
自分の名前とめぐの名前を探す。

「めめ…一緒のクラスだったらいいな」

拓は笑顔で言った。

『…うん…』

けど、めぐは苦笑いで返すのが精一杯だった。