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いななくようにサイレンを響かせながら、河川敷にパトカーが止まる。
橋の下には、他の警官達がすでに作業を始めていた。
「細川!! 遅いぞ!!」
「すみません石田先輩! 渋滞にハマっちゃって」
「言い訳はいい!! 早く来い!!」
細川は、慌てて石田の元へと駆け寄った。石田のすぐ横にはブルーシートが広げられている。
「被害者は?」
細川は近くにいた鑑識を呼び止めて聞いた。
「まだわかんないよ。なんせ身元がわかるような物は持ってないからな」
忙しそうに声を荒げる鑑識に礼を言って、細川はブルーシートに目を移した。
近付いて、顔の付近のシートを持ち上げる。
「うっ! これは……」
細川はさっと死体から顔を背けると、川へ向かって足速に歩を進めた。そして勢いよくしゃがみ込むと、胃の中の物をリバースする。
「おいおい、大丈夫か?」
そっと石田が近付いて、ゆっくりと細川の背中を摩る。
「すみません先輩……」
あらかた吐き終えると、細川は石田から水を受け取り一気に飲んだ。
「それにしても、酷い事を……」
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