第一幕―シンデレラ―

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いななくようにサイレンを響かせながら、河川敷にパトカーが止まる。 橋の下には、他の警官達がすでに作業を始めていた。 「細川!! 遅いぞ!!」 「すみません石田先輩! 渋滞にハマっちゃって」 「言い訳はいい!! 早く来い!!」 細川は、慌てて石田の元へと駆け寄った。石田のすぐ横にはブルーシートが広げられている。 「被害者は?」 細川は近くにいた鑑識を呼び止めて聞いた。 「まだわかんないよ。なんせ身元がわかるような物は持ってないからな」 忙しそうに声を荒げる鑑識に礼を言って、細川はブルーシートに目を移した。 近付いて、顔の付近のシートを持ち上げる。 「うっ! これは……」 細川はさっと死体から顔を背けると、川へ向かって足速に歩を進めた。そして勢いよくしゃがみ込むと、胃の中の物をリバースする。 「おいおい、大丈夫か?」 そっと石田が近付いて、ゆっくりと細川の背中を摩る。 「すみません先輩……」 あらかた吐き終えると、細川は石田から水を受け取り一気に飲んだ。 「それにしても、酷い事を……」
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