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■町の中
10歳くらいの少女が一人で歩いている。古い布切れをかぶって、町の中を見回しながら、ドンドン進んでいく。
ユウ「(N)私の名前はユウ。ユウ・ラー・アンジェラ。ラー・アンジェラ家の巫女なの。太陽神ラーに仕える一族の子孫である私。このネックレスが巫女である証で、私の使命はこれを守る事。
本当は外に出ちゃいけないんだけど、ずっと家の中にいるのって退屈なの…。だから、偶にこうやってこっそり外に出ていくの。外の方がいろいろあって楽しいもんw」
王宮の側までやってきたユウ。王宮を見上げる。
ユウ「んー…いつ見ても大きい~」
と、ふと王宮の影で人が動くのが目に入る。
ユウ「(M)あれは誰だろう…?」
こっそり後をつけるユウ。
■ナイル川
少年、地面に座り込む。
ユウ、塀に身を潜めて
その人物を観察する。
ユウ「(M)男の子で歳は自分と同じくらいかなぁ?髪は布巻いてて見にくいけど、茶色っぽい。服装は私と変わらないみたいだけど、王宮から出てきたって事は…神官様の子かしら?」
一人で悩んでいると、
少年が前を向いたまま
少年「そんなところから観察してないで出てきたらどうだ?」
ユウ「っ!?」
一瞬躊躇うが、意を決して、ひょこっとその場から出ていく。
少年、ユウに顔を向ける。
ユウ「あはは…気づいてたんだね」
少年「バレバレだ。あれで隠れていたとは…。ところで何故オレをつけてきた?」
ユウ「うーん…何となく…」
少年「……」
ユウ「ね、隣座ってもいい?」
少年「…別に構わないが?」
ユウ、少年の隣に座り込む。
ユウ「私、ユウって言うのw
ユウ・ラー・アンジェラ。
貴方の名前は?」
セト「…セト」
ユウ「セト君ね。よろしくw」満面の笑顔を見せるユウ。
セト「ぁ、ああ…」
と、すぐに顔色を変えるユウ。
ユウ「あぁーーーーーーっっ!!!」
と、突然叫ぶユウ。
それに驚くセト。
セト「ど…どうしたんだ?」
ユウ「セト君って…やっぱり神官様の子じゃないっ!!こんなトコいていいの?」
心配そうな顔でセトを見ている。
セト「…いいんだ。あんなトコはもううんざりだ…。毎日毎日、王女の相手をさせられ、父上からは身を鍛えさせられる…。オレの自由は無いに等しい…」
と、辛そうな顔をするセト。
セト「だから、こっそり王宮を抜け出してきた…。やはり、自由と言うのはいいものだな…」
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