ものは使いよう

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ナイフを床から抜いた まるで刃こぼれした様子もなく、美しく七色にきらめいている。 これだけの切れ味なら、鍵でも壁でも切れるかもしれない。 脱走だ! ボクはすぐにそのことを思いついた。むしろ、それ以外のことが考えられなくなった。脱走しろ、と言っているようなものだろ。 ボクは扉の鉄格子から廊下をのぞいた。さっきよりは遠くだが、まだ看守達の話し声が聞こえる。 正当に出口からは無理か… なら壁を切ってやる。 皆が寝静まるまで待つという手もあったが、気持ちが焦って待てる気がしない。なにより、タイムリミットの半分まで来てしまったのに少しも桜に近づけていないことが、ボクを一番せかした。 壁にナイフを刺してみる。向こう側まで少し突き抜けた感触がした。 よし、いける!壁に穴を開けてやるんだ!
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