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「キーンコーンカーンコーン」
チャイムと同時に教室に着いた。
「珍しいね。葵がギリギリに来るなんて…。」
去年から同じクラスの田中南(たなかみなみ)が驚いて言った。
「ちょっと朝いろいろあってね…。」
私は先程までのことを思い出し、溜め息を吐いた。
「何があったの?」
南が心配そうに聞く。
南は凄く優しい人だ。
茶色のフワフワのボブヘアーや笑顔が凄く愛らしい。
女の私でも惚れてしまいそうだ。
男にモテるのも納得できる。
私の髪は栗色で癖っ毛。
髪の毛が広がるのが怖くて切ることが出来ず、やたら長い。
だから南が凄く羨ましい。
みんな私の髪を「外国の子みたいで可愛い」と言うけど、気紛れなこの髪が私は大嫌いだ。
私はくしゃくしゃになった髪を適当に手で整えながら口を開いた。
「あのね…実は…」
私が話し始めたとき、先生が入って来たせいで南に話しそびれてしまった。
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