空色紙ヒコーキ

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.  そんなことを考えているうちに、ひときわ目立つすばらしい桜の木の下に、ようやく見知った後ろ姿を見つけた。  どうやら、大きな桜の木の根元に寄りかかって、うたた寝をしてしまっているようだ。  咲は子猫のような忍び足で、漣の真正面までそぉっと回り込んだ。  こうして眠ってしまっていると、いつものおだやかな笑顔も見えなければ、やさしい声もかけてもらえないので、咲は少し残念に思った。  だからと言って、ぐっすり眠っている様子の漣を起こしてしまうのは、あまりにもかわいそうで。  仕方なく咲は長いエプロンスカートの端をつまんで、ちょこんと漣の前に座り込んだ。 .
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