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「お母さん、お父さんは?」
「春香ちゃんが心配だからって見に行ったよ」
「そう」
「クスっ、心配しなくても大丈夫だって」
「でももしも春香のお父さんみたいになったら」
「大丈夫だから」
美凪は竜花を自分の胸に抱いた。
優しく頭を撫でながら。
「お姉ちゃんは?」
「学校よ。竜花もお昼から学校に行きなさい」
「……………わかった」
そう言うと竜花は支度をし始めた。
昼食を食べ終えた竜花は学校に向かった。
今から行けば昼休みには学校に着くはずだった。
そこで竜花は気がつく。
なんでお父さんは帰って来なかったんだろうと。
気になった竜花は春香の家に向かった。
春香の家に着くとすごく静だった。
靴を脱いで部屋に入ると竜花は呆然とした。
体が震えてとまらない。
布団の中で震える春香と目があった。
春香が竜花の手を持って外にでる。
竜花は父親の死を目の当たりにした。
血だらけの男がそこで倒れていた。
竜花のお父さんと春香の親を殺した男。
その光景を美凪が見るのは今から約一時間後だった。
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