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そして火をかけようとしたが、二人の死体を見ているうちに、
空腹に耐えかね、囲炉裏の火に、死体の片腕を炙ってみた。
二人とも食っていってしまった。
餓えを満たすと、もう親も無い、兄弟も居ない。
後からやってきた夫と自分の子を鎌で討ち殺し、これも食った。
女はもう人間では無くなった。
腕や脚は太くなり、目の色も異様に光り、髪を振り乱して野を駈けずり周り、
死人を求めて彷徨った。
飢饉の中なので死人の数は計り知れなかったから、
群がる犬を蹴散らし、人間の死体に齧り付く。
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