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・・ある夜。一人の老婆が実の息子に引きずられて崖の上に来た。
「助けでくれ!助けでくれ!!もう決して食いたいなんて言わねぇがら!!」
老婆は泣き叫んだが、息子は聞く耳を持たない。
そしてむしゃぶり来る老婆を崖の下へと突き落とした。
川原に転げ落ちた老婆はしばらく息が出来なかったが、
ようやく辺りを見回し、ゾッとした。
見渡す限り赤ん坊の白骨、腐乱した赤ん坊の死体、
烏に食い荒らされたままの赤ん坊の死体。
そして今尚生きる赤ん坊のすすり泣き・・・。まさに地獄であった。
「おら、死にだくねぇ・・、死にだくねぇよぅ・・!」
老婆は土を掴み、よじ登ろうとして、ハッと気が付いた。
掴んだのは、そう・・、千切れた赤ん坊の足であった。
恐らく烏の食い残しか、落とされたときに千切れ飛んだ赤ん坊の足なのだろう。
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