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プロローグ
曇り空一つない晴れ渡った晴天。
今日俺たち梶ケ谷中学三年一同はその下で教育義務の過程を終えた。
体育館を後輩に見送られながら速やかに退場する。
中学生活の終わりを告げるはずの卒業式があまりに規則的で堅苦しかったために思わず笑ってしまった。
「グス……なに笑ってんだ拓哉?」
退場の為の雄大な花道を歩いている俺の気分を壊すかのように耳元で涙声の誰かさんがそう囁いた。
俺は後ろを振り向き、誰かを確認すると、「やっぱりお前か…」と聞こえないぐらいの声で呟いた。
「翔梧……なんで大泣きしてんだ??」
理由など分かる。別れが悲しいからだ。だけど分かりながらも敢えて意地悪にそう言った。すると先程の発言が翔梧自身のプライドに触れたのか、泣いて紅くなった顔を更に真っ赤にして、
「うるせぇ!!お前にこの日の感動が分かってたまるかよ!!」
と怒って怒鳴り散らすと、再び大声で、
「うわぁぁぁぁぁん」
と泣き喚き出した。
(おいおい、人前でこんな大泣きして恥ずかしくねぇのかよ)
そう思いながらも『泣き止めよ』とは言えず、その光景を見ながら俺はただただ苦笑していた。
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