四国

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しばらく、お互いにその場を動かなかった。 だが、落武者はゆらゆらと揺らめいていた。 空也の眼が、細くなった。 『何がいいたい?』 静かに、まるで独り言のように空也は呟いた。 静かな空間に、その声は広がりすぐに消えた。 また、静かになる。 『なぜ、現れた? 何を伝えたい? 私が聞き届けてやろう。 さあ、何を言いたい?』 再び、落武者に向かって空也は叫んだ。 ざわざわと木々が揺れる。
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