四国

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『そうか…。 お前は、鬼に操られているのか。』 数百年、ここでさまよい続けた武者に、世に放たれた鬼が憑いたか…。 空也は、人の言葉を失った武者を見てそのことを確信する。 言葉が通じない。 鬼と化したか…。 なんと、あわれな霊よ。 鬼め! 忠義を尽くし今なおも、主君のためにさまよい続けている武者に、とり憑くとは…。 人として成仏させてやりたかったものだ。 なんと鬼は酷い(むごい)ことをするものだ。 空也は、憐れな気持ちでいっぱいになっていた。
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