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『あっはははははっ。』
青年の高笑いが聞こえる。
パチパチと音をたてながら、念を込めた結界が燃えてゆく。
岩の周りを重い陰の空気が包み始める。
異界とこの世をつなぐ扉が、結界が弱くなったことで少し隙間が開く。
パキーン。
祠(ほこら)の中の仏像が、真っ二つに割れた。
結界を守るべき力が衰退していく。
完全に結界が解かれたわけではないが、異界からの力の方が強くなり時空が歪む。
そこから空へと放出される、この世のものでないもの達を、青年はみつめて笑っていた。
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