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午後5時
約束の時間になっても礼美は来なかった。
この時間帯の秋葉原は他の時間帯よりも人がだいぶ多い。
理由の1つに、帰宅途中の学生やお菓子系アイドルが活動し始める時間帯でもあるからだ…
あの方向音痴でも道に迷うことは無いはずなのに。
今は仕方がなく、親父と二人で被害者の自宅にいる。
「おい真哉!突っ立ってないで早く事件現場の風呂場に行けよ。
硫黄の臭いはあんまりしないと思うから大丈夫だぞ」
被害者宅のリビングを眺めていた所を刑事である親父に話しかけられた。
うちの親父は警視庁捜査一課の刑事なのだが、あんまり勘がよくないせいか五十代前半だというのに課長になれていない。
そうゆう人が大半なのだろうけど…
「はいはい、わかってますよ。リビングも調べた方が良いかと思ってたのに」ブツブツ文句を言いながら親父のいる風呂場に足を進め始めた時、ふとリビングにあったテ―ブルに目をやると、これから酒でも飲もうとしたのかビールがおいてあったグラスまでも…
「父さん!この部屋って、事件当時のまま?」親父の元に駆け寄り、テ―ブルを指差しながら言った。
「あぁ、なんにもいじってないぞ。それがどうした?」
「それがさ…、テ―ブルの上にビールとグラスがあったじゃん。なんか違和感があるんだよね」 腕を組み首をかしげながら考えを言うと、
親父は何もわからないみたいで「う~ん」と唸るしかなかった。
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