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父さんはこうゆう番組を毛嫌いしている。 なんでも、このテレビをみて犯人の有力な手がかりが掴めるのなら鑑識課なんかいらないらしい。 視聴者から電話が来るのはごくわずかで大抵の場合はいたずら電話が多いみたいだ。 だから、僕がこの番組を観ていると直ぐ様野球中継に変えられてしまう。 もし父さんが応援している『朝日ジャイアンズ』が負けた日には不機嫌極まりない。 リモコンを取り電源ボタンをテレビに向けると押した。 「(他に不振な点は…)」 黒革のソファーに座りながら周りを見渡してみると 寝室が無いことに気づいた。 風呂もある 床もフローリングなのに肝心のベッドがない…… 「えっと、まさかソファーで寝てたのか? ひょっとして…、風呂のデカさだけで家選んだのかな」 試しに一度ソファーに横になってみると 案外、心地よくタオルケットがあれば十分な感じだった。 「(悪くない、168センチある僕でもちょうどいい大きさだ)」 起き上がり、床を見ると髪の毛が落ちていた。 手に取り電気にかざしてみると薄い茶色をしていた。 「(誰か入ったのかな? 結婚はしてなかった気もするんだけど…)」 風呂場にいる父さんを呼ぶと、髪の毛について聞いてみた。 「この髪は長いな… 女か?鑑識には回ってないよな」 「これ調べればさDNAだっけ? 犯人割り出せるんじゃない?」 興奮気味に髪の毛をみせると冷静な父さんはしばらく考え込んだ。 「なぁ真哉、お前は家に礼美ちゃんを連れてきた事あるだろ?」 「あるけど……」 「それで、髪の毛の一本や二本は気づかないうちに抜けるだろ… それと同じだよ。会社の同僚を一人や二人まねいてるかもしれない。もちろん女性もいるだろう その子の髪かもしれないぞ?」 「いやっでもさ!一応調べようよ。犯人かもよ? 意欲的に捜査しようよ!ね?」 父さんのポケットから無理やり袋を取り出すと 紙を入れた。 「しょうがないな… どうなってもしらないぞ」 僕の頭をぶつと風呂場に戻った。 いきなり殴るのは父さんの性格、思い通りに行かないとイライラして殴るんだ。 「(いった―、こうゆう性格直せよ)」 僕はソファーを殴った。
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