‐世界‐

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パタン。 静かに部屋に入る俺、 重たい空気が充満している気がした。 「えっと…何か飲み物でも持ってこようか?」 「とりあえず座って。」 「…あ、あの男の事なら心配すんなよ。」 俺は言う通りに床へ座った。 窓から外の様子を伺う彼女の後ろ姿をじっと見つめる。 よく見ると不思議なやつだ。 見た目はどこにでもいるような普通の、…かわいい女の子。 だけどなにか違う…。 まるで幽霊のような、人形のような…。 「君さ、名前なんてゆうの?」 振り向かないで外を見たまま話す彼女。 「え、俺はぁ…リツ。」 「ふぅん、私はアイカって言うの。」 「…そうなんだ。」 会話が浮かばない。 聞きたい事はいくつかあった。 さっきの男が言っていた事、 どうしてそこから逃げなきゃいけないのか。 それと彼女の…、アイカの事。 なのになんて話せばいいのか、 分からなかった。  
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